Professor Profile

井上正也

Masaya Inoue

  • 慶應義塾大学法学部教授
  • 専門:日本政治外交史

Biography

1979年大阪府堺市生まれ。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。香川大学法学部准教授、成蹊大学法学部教授を経て、2022年から慶應義塾大学法学部教授。専門は日本政治外交史。著書に『日中国交正常化の政治史』(名古屋大学出版会、サントリー学芸賞・吉田茂賞受賞)、『戦後日本のアジア外交』(共著、ミネルヴァ書房、国際開発研究大来賞受賞)など。

Message

外交の巧拙は一国の運命をも左右します。一見弱腰に見えて実はしたたかに国益を増大する国がある一方で、強気で大胆な外交を展開した国が、孤立の果てに滅亡した例もあります。1930年代から40年代前半にかけての日本は、自国の国力や資源に見合った外交戦略を立てられず、その結果、多くの犠牲者を出して戦争に敗れました。これに対して、第二次世界大戦後の日本は、日米安保体制と憲法九条を両立させながら、平和と繁栄の道を歩み、ついには西側第2位の経済大国へと復活しました。しかし、今、その平和で豊かな日本の前提であった国際環境は大きく変化しています。中国の台頭にどう向き合うかは、日本のみならず世界の大きな課題です。また北朝鮮の核・ミサイル開発、歴史問題や領土問題など、日本と周辺諸国との間には様々な外交争点が存在します。これらの課題に向き合う時に重要なのは、現状分析だけではなく、歴史に学ぶことです。

井上研究会が大切しているのは、現代と過去との対話です。外交と軍事の関係はいかにあるべきなのか、世界各国で見られる歴史認識の問題にいかに向き合うべきなのか、経済と安全保障はいかに交わり、すみ分けるべきなのか。歴史は先人たちの成功と失敗の記録と記憶に満ちています。活きた歴史を通じて現代的課題を考え、今まさに直面する課題の答えを歴史の中に見出す。井上研究会では、こうした知的営為を積み重ねていきたいと思います。

Publications

単著

共著

  • 五百旗頭真監修、井上正也・上西朗夫・長瀬要石著『評伝 福田赳夫』岩波書店、2021年

※ その他の履歴・研究業績についてはResearchmapをご覧下さい。