わたしの担当する人文科学研究会では、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの現代映画について、グローバルな視座から幅広く、そして深く学んでいきます。毎年、春学期には、アメリカか、ヨーロッパの映画を勉強し、秋学期にはアジアの映画を扱うことにしています。普遍的な物語を志向するハリウッドは、やはり見ていて楽しいものです。またハリウッドに対抗する局所的な物語を生み出していくフランスやイギリス、イタリアの映画も楽しいものです。しかし、いま世界で一番面白い映画を生み出しているのは、アジアです。アジアはスロー映画の聖地です。タイ、フィリピン、台湾、中国、日本を舞台に、資本の強力な流れに対抗し、抵抗する物語の可能性について、本研究会ではじっくりと取り組んでいきます。政治学、法律を専攻するみなさんにとっても、本副専攻は、世界の見方を変える、きっと有意義な時間となると思います。
佐藤 元状
本研究会の担当者は、イギリス文学と映画研究の専門家です。これまで『ブリティッシュ・ニュー・ウェイヴの映像学』(ミネルヴァ書房、2012年)と『グレアム・グリーン ある映画的人生』(慶應義塾大学出版会、2018年)の二冊の研究書を上梓しています。ライフワークとして準備中のヴァージニア・ウルフ伝のほかに、スローシネマと映画理論、イギリス映画史講義などを執筆していく予定です。本研究会からは、映画批評家、映画史研究者、映画監督、詩人、文学研究者などが生まれています。